診療ストーリー
顎はほとんど痛まないのに強い頭痛と眼痛が続いた症例
2024年、顎自体の痛みは強くない一方、数か月にわたり両側の強い頭痛と目の内側・周囲の痛みが続いた非識別化症例です。
2024年、顎自体の痛みは強くない一方、数か月にわたり両側の強い頭痛と目の内側・周囲の痛みが続いた非識別化症例です。
患者は眼科で特記事項なしと説明され、整形外科の徒手療法後も不快感が続いたと話しました。そのため幅広い評価の一部として顎関節・咀嚼筋機能も確認しました。
顎関節注射と理学療法を含む全3回の診療でした。3回目には顎痛・開口困難がなく、頭痛や眼痛の再出現も訴えなかったため短期診療を終了しました。
診療後、頭痛と眼痛が同じ期間に現れなかったことは、当初の原因が顎関節だったことを証明せず、他の人の結果も予測しません。
主要な経過
主訴は約3~4か月続く両側頭痛と強い眼痛・眼球痛でした。顎痛は目立たず、眼科・整形外科受診後に顎機能評価を希望しました。
2024年3月末に皮膚科で受けた咬筋ボツリヌストキシン注射歴を別に記録しました。製品、用量、正確な部位、過去の反応は公開記録では確認できません。
初回治療約3週後、頭痛・眼球痛は現れませんでしたが、右側の腫れ・内出血、口元の曖昧な不快感、初期の開口困難も記録しました。
3回目には顎痛がなく楽に開口でき、同日の歯石除去も問題なく行えました。これはこの患者の短期経過だけを示します。
患者がいう「眼球痛」の意味
本稿の眼球痛は、患者が目の内側または周囲で感じた主観的な痛みです。眼疾患や眼圧上昇が確認されたという意味ではありません。
眼表面・眼球疾患、眼圧関連問題、片頭痛などの頭痛、副鼻腔疾患、神経障害性疼痛、側頭筋・咀嚼筋の関連痛、ほかの眼科・神経学的原因を区別します。
眼痛・眼球痛という表現だけで顎関節の問題とは診断しません。
来院時の症状
患者は「顎関節はそれほど痛くありません。頭痛と眼球痛がひどく、両側が痛むので来ました」と話し、記憶では約3~4か月続いていました。
顎痛が少ないから顎・筋の関与を完全に除外することも、頭痛・眼痛があるから顎を原因と決めることもできません。
以前の評価と治療
患者は眼科で特記事項なしと説明され、整形外科で徒手療法を受け、特別な異常はないようだと言われたと話しました。
これは患者の説明であり、他院資料全体を本稿で再読影したものではありません。「異常なし」を新たな確定診断として扱いませんでした。
頭痛・眼痛と顎の関連を示すオンライン情報が受診のきっかけでしたが、検索結果だけで原因は確定できません。
過去の咬筋ボツリヌストキシン注射
患者は顎周囲の注射を皮膚科で定期的に受けており、歯科初診前の2024年3月末にも咬筋注射を受けたと話しました。
製品、用量、正確な部位・深さ、症状変化、副反応が未確認のため、過去の注射が現在の頭痛・眼痛を起こした、または治療したとは推定しませんでした。
それでも咀嚼筋状態と過去の治療反応を理解するために必要な情報です。
顎が痛くなくても顎関節・筋を確認する理由
顎関節・咀嚼筋の不調は常に顎痛として最も強く感じるとは限りません。こめかみ、頭、目、頬骨、耳前、首、肩の不快感を強く感じる人もいます。
楽な開口と最大開口、顎経路・偏位、音・引っ掛かり、咬筋・側頭筋の緊張・圧痛、食いしばり・歯ぎしり、頭痛・眼痛の時期、顎使用での変化、眼科・神経学的所見を比較します。
公開記録には全ての開口測定値・触診結果がありません。治療反応から未記録所見を逆算して作りませんでした。
眼痛と顎機能を確認する順序
1. 眼の危険徴候
突然の視力低下・視野変化、強い充血と急な激痛、複視、光の輪、眼球運動時の強い痛み、嘔吐を伴う激しい頭痛は眼科・救急評価が必要です。
2. 神経学的危険徴候
急な構音障害、顔・四肢の感覚変化、片側脱力、意識変化、歩行困難、突然の激しい頭痛は神経科・救急評価を急ぎます。
3. 顎機能との関係
顎運動・食いしばり後の変化、側頭筋・咀嚼筋触診で普段の痛みが再現するか、開口・関節音の変化、筋緊張と同じ時間経過かを確認します。
眼科原因が明確でなく顎機能とともに変化する場合に顎評価を追加できますが、持続・悪化時の再眼科評価に代わるものではありません。
全3回の診療
全3回に顎関節注射と顎関節理学療法を含みました。公開記録から各回の正確な施術順を推定せず、注射薬剤・詳細部位も公開しません。
種類、部位、用量は症状・検査所見で異なり、他の人に同じように適用できません。
初回治療約3週後の変化
右側の腫れ・内出血と不快感は残りましたが、頭痛は再発せず、普段頭痛と一緒に来る眼球痛もその期間は現れなかったと話しました。
右口角付近を触れると内出血によるかもしれない曖昧な不快感があり、治療直後は開口しにくかったものの徐々に普段の状態へ戻りました。
頭痛と眼球痛が一緒に変化したことは重要な観察ですが、顎関節が元の原因だった証明ではありません。腫れ・内出血・開口困難は治療後所見として別に追跡しました。
治療後の腫れ・内出血
注射後には局所の腫れ、内出血、圧痛、一時的な動きの不快感、注射部痛があり得ます。他症状が改善してもこれらを隠さず別に記録します。
急速に増える腫れ、強い痛み、著明な熱感・発赤、発熱、感覚変化、明確な顔面運動変化、嚥下・呼吸困難は速やかに医療者へ連絡します。
頭痛と眼球痛が同時に消えた意味
患者は普段、頭痛と眼球痛が一緒に起こると述べ、初回治療約3週後にはどちらも再発せず、同じ時間経過を示しました。
顎関節・咀嚼筋痛、側頭部頭痛、眼周囲痛は三叉神経感覚経路と関連痛機序を通じて影響し合う、または一緒に感じられる可能性があり、臨床的関連を検討しました。
同時変化は手掛かりであり顎関節が唯一原因という証拠ではありません。自然変動、睡眠、疲労、ストレス、薬、以前の眼科・整形外科治療、ボツリヌストキシン、眼科・神経要因も影響し得ます。
3回目に短期診療を終了
患者は「顎の痛みは全くありません」と述べ、楽に開口でき、その日の歯石除去も問題なく受けました。
顎痛・開口困難がなく、頭痛・眼球痛の再発も訴えなかったため全3回で終了しました。長期無再発や他者の同じ結果を保証しません。
この症例の要点
顎痛が少なくても顎機能は評価できる
主訴は顎痛ではなく頭痛・眼痛でした。顎を評価したことは原因と断定したことを意味しません。
眼科で異常なしという申告だけで顎診断にしない
他院資料全体を再確認しておらず、眼の危険徴候と他原因を優先し、顎機能を追加評価しました。
改善と治療後不快を別々に記録
頭痛・眼球痛はその期間再発しませんでしたが、右側の腫れ・内出血、口元不快、初期開口困難は残りました。
同時改善は手掛かりであって証明ではない
同じ時間経過は関連検討の材料ですが、治療反応から元の原因を逆算して確定できません。
過去の咬筋注射歴も重要
施術歴は記録しましたが、製品・用量・部位が不明で現在症状との因果は判断しませんでした。
まとめ
2024年、顎痛は少ない一方、約3~4か月続く両側頭痛と強い眼痛・眼球痛で来院し、眼科受診・整形外科徒手療法後も不快感が続いていました。
皮膚科での過去の咬筋ボツリヌストキシン注射歴を、効果・害を推定せず記録しました。全3回に顎関節注射と理学療法を含みました。
約3週後、頭痛・眼球痛は再発しませんでしたが、腫れ・内出血、口元不快、一時的開口困難がありました。3回目には顎痛・開口困難がなく、頭・眼痛の再発も訴えませんでした。
適切な評価後も頭痛・眼痛が続く場合に顎機能評価を追加し得ることを示しますが、眼科・神経学的境界を守り、一症例の反応から因果を断定しません。
この症例と併せて参照した研究
Schiffman Eほか. Cephalalgia. 2012;32(9):683–692. DOI: 10.1177/0333102412446312。顎機能による頭痛変化と運動・側頭筋触診での再現を重視します。
Tchivileva IEほか. The Journal of Headache and Pain. 2021;22:42. DOI: 10.1186/s10194-021-01255-1。慢性筋性TMD患者でTMD起因頭痛と原発性頭痛を比較しました。
Fernández-de-Las-Peñas Cほか. The Clinical Journal of Pain. 2007;23(9):786–792. DOI: 10.1097/AJP.0b013e318153496a。側頭筋刺激でこめかみ・眼後方への関連痛が起こり得る機序資料で、本症例の証明ではありません。
Sharma Sほか. Pain. 2023;164(4):820–830. DOI: 10.1097/j.pain.0000000000002770。TMD起因頭痛と別に併存する頭痛を区別する必要を示します。
よくある質問
顎痛がなくても顎機能を確認できますか
はい。顎痛の有無だけで因果を決めず、頭痛・顔・眼の不快感が顎運動・筋緊張で変わるかを確認できます。
眼科で異常なしなら顎が原因ですか
いいえ。重要な情報ですが顎由来の関連痛を確定しません。持続・変化時は眼科、神経科、頭痛評価の再確認が必要です。
診療後に眼痛が消えれば顎が原因ですか
いいえ。時間的関係は手掛かりですが、自然変動や他の治療・要因も考慮します。
注射後に腫れ・内出血は起こりますか
局所に起こり得ます。急速な増大、強い痛み、発熱、感覚・顔面運動変化、嚥下・呼吸困難は速やかな連絡が必要です。